二人は心地良い倦怠に満ちた裸体を寝台に横たえて、寝入ることなくごろごろとしながら緩やかな夜の時間を過ごしました。
ルークは昔からのやきもち焼きなところを発揮して、今日のジルの行動や話をした人間のことなどを聞き出そうとしますが、それはいつものことだったのでジルは笑って流していました。
ジルは美しい若者に成長していましたが、それでもルークのような執着を持って好意を寄せてくる人間は、そう滅多にいないように思うのですが…説明したところでルークは全く納得しないのでした。
「おい、ジル……言えよ。俺に言えないことがあるのか」
恐い顔つきになって尚も食い下がってくるルークを腕に抱いて、一つ年上の義兄をまるででかい子供のように感じながら、ジルはその黒髪を宥めるように撫で続けていました。
もうジルは世間知らずな弱い少年ではなく、知識も体格も立派に成長した大人です。
そして、自分の意思で決めてルークの傍にいるのに、まだ人に盗られるとルークが不安視していることをおかしく思ってしまうのです。
「……あれは気に入ったか?」
ルークが短くぶっきらぼうに切り出した言葉でしたが、ジルにはそれが今日の贈り物のことを言っているのだと分かりました。
ジルが笑って頷くと、ルークも少し機嫌を直したようです。
「そうか…じゃあ、また買ってきてやる」
ジルの額から寝台に流れた金糸の髪を指で梳きながら、ルークは呟きました。
しかし、その言葉にジルは心配になります。
ジルが着ていたビロードの服も「着心地が良くて気に入っている」と一度言ったために、ルークはその後で何着もの上質なジルの衣服を仕立てさせていたのでした。
高価な部屋着がそんなにたくさんいるとも思えずジルは断ったのですが――また人形も連日のように買ってくるのでは…という予感がジルの頭を過ぎるのです。
結局、持て余して大量にクロゼットに詰め込まれた衣服のように、部屋の家具の上に山積みに飾られた縫いぐるみを想像すると、ジルは堪えきれずに笑い出していました。
寝台を転がって笑うジルをルークはぽかんと見ていましたが、やがてその意味を分からないまま笑いの発作が伝染していました。
精悍な強面の顔が照れたように相貌が崩れて、人前で無愛想なルークがこんなふうに笑いかけてくれる時がジルは好きでした。
その笑顔は宮廷の人たちのように気品があるものでも、ジルの両親のように優雅で穏やかなものとも似ていません。
しかし、粗野に見られるルークの優しい内面が見られるようで、それはジルにとって誰よりも一番惹かれる笑顔なのでした。
その夜、二人はもう何がおかしくて笑っていたのか分からなくなるまで、子供のようにじゃれ合って笑い転げていました。
こうして孤独な二人の少年は、お屋敷の中でお互いを見つけてからはずっと身を寄せ合って幸福に暮らしたのでした。